医療事務の資格はクリニックへ就職するのに有利なの?
同じ医療事務でも大規模病院と個人クリニックでは大きく仕事内容が変わります。大規模病院は悪くすると、歯車の部品になってしまいます。
部品の仕事をやっているうちに、せっかく受講料出して取った資格の知識が消えました。なんてこともザラではないのです!
でも、安定して休日も時間もキチンとしているのでそのまま勤務を続けるということは否定しませんし、人間関係も慣れればラクです。長く勤めれば受講料も回収できますしね。

家庭と両立したいとか、自分の考えで判断すればいいと思うよ!
では資格試験に合格したばかりでクリニックの求人を見つけました。さっそく応募したところ、「資格は持っているんですね」・・・たいていはその程度で流されるのが実態です。
じゃあ、やっぱり資格要らない?基本的には「あった方がいい」です。新規開院でない限り、求人は、「即戦力」を求めています。基礎の勉強くらいした人の方が同じ条件ならそちらを採用する確率が高いでしょう。
クリニックで求められる人材とは

クリニックはなんでも屋。医療事務の醍醐味を得られるのはクリニックや、個人経営の病院です。受講した以上のスキルや知識を積み上げられるし、常連?の患者さんばかりなので、クレームも多くはありません。
クリニックが求めるのはこんな人:対人能力編
やはり人相手の職業ですから、まずは対人能力がきちんと形成されていれば大丈夫です。まずはこうした人柄が一番大事なところです。
もちろん、同じ職場の人ともうまく付き合えるに越したことはありません。
クリニックの採用基準ってどうなってるの?

他に何が大事なんでしょうね。医療事務の経験が豊富で電子カルテもレセプト業務もできる人と資格を取ったばかりのあなた。普通は前者でしょう。
とはいっても、雇用主側の都合もあるので、100%前者とも限りません。
クリニックが求める人材とは:クリニックの考え方編
どうでしょうか。意外だと思いませんか。能力ばかりが基準ではないのです。クリニックもあくまで個人経営の事業です。経営者目線がかなり入るのです。
クリニックは従業員の人間関係を重視します。女性ばかりなので、和を乱すもとになるような人選はしません。ピラミッド型の構成を大事にします。
また、パートで構成して人件費を抑えたいという経営者もいます。キャリアのありすぎる人は時給も高額になるのでそこは境界線を決めて面接に当たるところも多いのです。
まとめると、現状うまく人間関係が回っているならそれに沿うような人。その上で双方の希望がマッチする人の方が採用されやすいようです。これもタイミングと言えばいいでしょうか。
必ずしもキャリアのある人ばかり求めるのではなく、基本的な勉強と知識があること、できれば求人先と同じ診療科の経験がある、程度でもかまいません。
内科でバリバリに働いていても、整形外科や眼科の経験がないのでは即戦力と言い切れません。医療事務とは、診療科によって会計の計算のルールなどが違うのです。

まあ、言えることは人数が少ないし、女性ばかりの職場だから人間関係重視で雰囲気のいいクリニック作りをしたいってことよね。
レセプト業務ってあまり聞かないけれど必要?できないとダメ?

ひと昔前の資格講座は、カルテを見てそこから診療費を計算するのが中心でしたが、今は紙のカルテが減り、レセプトがきちんと作成されているか判断できる力をつけることに比重が移りました。
でも、大規模病院でそういう業務しているところは見たことないわという人もいるようです。
やっていますよー。レセプトも電子化されたし、レセプトチェッカーを使う病院も増えたので目立ちませんが、一度印刷して1か月分の診療の整合性は人の目でチェックしているところは多いですよ。
大規模病院は派遣会社に外注していますが、クリニックはそうはいきません。このレセプトはいわばドクターが1か月働いた仕事の請求書ですが、ドクターはじめ、事務員でチェックするのです。
始めはわからなくても、クリニックで出来る診療や検査は限られているから、先輩事務員に教わりながら実際のレセプトをチェックできるようになります。
講座では基礎基本しか習いません。内科、皮膚科、眼科と、科が違えば診療行為も検査もルールも違うので、現場で目にしてやっと内容がわかるのです。
しかも、講座ではわかりにくい公費や都道府県独自の医療費助成制度、高額療養費、国が決めた難病医療費助成制度を受けている患者さんのレセプトもあります。現場のしかもレセプトに携わらないと目にすることすらできません。
どういう病気だから、こういう検査をして薬を出して・・・。1か月の間にドクターが行った診療がレセプトで再現されます。窓口でみなさん3割分の医療費を支払いますね。残り7割はみなさんが入っている国保や社会保険からドクターは支払いを受けられます。
このレセプトがわからなければ、クリニックの経営は成り立ちません。7割分の支払いが受けられないのですから。だから資格をとってすぐ大規模病院で受付だけとか、計算に関わらない仕事を
していると、このレセプトの出来具合すらもわからなくなるのです。
レセプト業務こそ医療事務の本質

医療事務とは、最終的に患者さんが支払った3割分の残り、7割分を収入にするところまでが仕事であり、勉強してきたことですね。
クリニックや個人病院でレセプトがわからない医療事務員はあり得ません。クリニックなど2~3人しか事務員はいませんね。受付⇒会計⇒レセプト業務まで完結させて一人前ですよ。
そして、このチェックが甘かったり患者さんの保険証を間違えて入力していたりすると、正規の支払い分から「減点」と称して請求分より差し引いた金額しかもらえません。もしくは、保険証の間違いなどは訂正しても、何か月か遅れて支給されるのです。
責任は重いのです。だから医療事務職としてキャリアを積みたい人は、出来る環境であれば最低限、電子カルテ操作と計算から離れてはいけません。
医療事務は学ぶと現場では大違い

なぜ学ぶのと現場では違うのでしょう。どんな職業もそうですよね。本やビデオ、講座はやはり机上の学びです。現場は人が関わってきます。
今は接遇マナーや言葉使いも講座にありますが、それはあくまでもマニュアル的なものです。クレーム以外の現場でしか学べないことなら・・・。
例えば外科ですが、受付にいると顔から血を流した人も来ます。膝から下があらぬ方向に曲がっている人もきます。「工事で飛んだ」と指を受付の上に置かれたこともあります。
始めはオロオロしても仕方ありませんが、そこを早く乗り切る強い気持ちも必要です。
はた目には医療事務って受付に座ってパソコンばかりと向き合い、笑顔でお大事にで楽そうに見えるかもしれません。
家計の足しとして仕事をするか、スキルとして高めていくか。家族がいるなら相談してじっくり決めましょう。
今回は資格講座を始める、または試験に合格してこれから仕事をしようという人向けに書きました。少しでも判断のお手伝いになれば幸いです。
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