筆者は実家の隣がゴミ屋敷で6年間空き家のまま売れずに困りました。
他人事とは思ってませんか?ゴミ屋敷が近所に無くても、処分に困ることはありますよ。
困らないようにするにはどうしたらいいでしょうか。
事前にできることです。
相続した実家が売れない時、空き家のままにしますか。

相続した実家を売って相続人で分けよう。
でも何らかの理由で売ることができなかった!いきなりそうなったら、どうしますか。

相続放棄って手があるよな。固定資産税だってかかるし、いいじゃないか。

ちょっとまって、相続放棄って、私はしたくないわ。育った思い出の家だし。
こういう意見の対立はあることですね。確かに住み慣れた思い出の実家は、簡単に手放す気にはならないでしょう。相続人が複数いると、まとまらないこともあります。
跡取りがあれば、遺産分割協議でその人に実家の持ち主として登記してもらえることもあります。
でも、いつか売って所得を得たいと考え、複数人で実家の権利をもっておきたいとなると、のちに問題に発展しかねません。
そして売れない不動産だとしたら、固定資産税をどうするか、家の維持は誰がするのかなど、次々と問題が浮上するのです。
相続放棄、その前に相続財産について徹底的に調査しよう

では、相続財産としての実家の権利を放棄すれば、もし売れなくても関係ないでしょうか。そんなに簡単にはいきません。
例えば被相続人(亡くなった人)が1億円の預貯金を持っていたとします。相続放棄はその預貯金を相続する権利も放棄することになるのです。
相続放棄手続き成立後にどこからか多額のタンス預金や有価証券がみつかったとしても、相続はできません。
遺言書があれば、どのような財産状況か把握できますが、今の高齢者である親世代で、しかも一般家庭では遺言書を作っている人は少ないでしょう。
亡くなって遺品を片付けているうちに、通帳・生命保険証券・有価証券など見つかるのが普通です。財産がすべてプラス、もしくは無くても負債がなければ良しとしなければいけません。
困るのは多くの負債が発覚したり、負債はなくとも残ったものが家と土地だけで、しかも誰も近隣で住んでいない場合です。
遺品や家具、家電を片付けるだけでも30万くらいお金がかかります。片付けに時間をかけているうちに相続放棄できる期限の3か月くらいすぐ過ぎてしまいます。
負債が多い場合は相続放棄という手段も仕方ないでしょうがリスクも伴います。
相続放棄したからといって実家の不動産から解放されることにならない

ここで、ひとつ大事なことを。相続放棄したからといって、放置していいわけではないのです。放置すればそのまま空き家となり、壁や屋根が壊れ庭も草ぼうぼうになります。
衛生上、景観上、防犯上の観点からも手入れはしなければいけません。その不動産の管理義務は発生するのです。
相続人で順番に手入れに来るか、誰か一人にまかせるか、そういった問題もでてきます。誰もできないようなら、不動産会社や便利屋が空き家の管理サービスをしているので、お金を出して依頼することはできます。
筆者は隣の県だったので、相続した家を月に1~2回掃除に通いました、でもその間も電気代や水道代など光熱費は発生しますし、空き家用の火災保険にも入っていました。
ですから、不動産会社など専門の業者や団体に、こうした問題が発生しそうだということを相談しておく方がいいのです。また顔なじみになっておくことも大切です。
不動産会社が手を出さない家はいつまでも売れない負動産に

相続放棄しなくとも、複数人で相続登記を済ませた場合は、いざ売却しようかという話になったとき、共同登記者全員の同意が必要です。
うまくまとまればいいのですが、等分では不服な人が出るトラブルもあります。理由は様々です。
例えば上の方の子供は親の経済を助けて進学しなかった分多めにほしいとか、介護に一番労力をしたという人が多くもらいたいと主張することもあります。
このように内輪でもめていては、もちろん売れませし、不動産会社も相手にしてくれません。
今でこそ空き家対策事業がかなり充実してきましたが、もてはやされるのはカフェや民宿に改装できそうな古民家や、移住者用の田畑付きの住宅が多いのです。
中途半端にに市内や、市街地にある不動産ほど魅力がないのです。それを補うだけの魅力があるかどうかも、私たち素人には判定できません。
やはり不動産会社に尋ねるのが一番です。
相続放棄した不動産は自治体に寄付できるのか


それだったら国や地方に寄付したらいいんじゃないの。競売にかけるといいんじゃない?

簡単に寄付なんてできないよ。自治体にとって有効に活用できそうな土地なら受け入れてくれるけれど。大体固定資産税という税収もへるじゃないか。
そうです。よく国にお返しすればいいなどと、高齢の方が口にすることが昔はよくありました。実際、誰も相続時に登記せずそのままで、今や持ち主がわからない土地すら増えています。
昔は国にお返しする感覚で継がなかった土地もあるようです。または、固定資産税が払えず土地を没収された時もあったそうです。ですから、国にお返しするという考え自体が間違いです。
結局空き家が増えて、処分に困っていることや税収が減ることで、相続時の登記は義務化されようとしています。
どこまでも責任を持たなければいけないという状況になってきているのです。
不動産は専門家に見てもらい、早めに対策を立てておく

というわけで、テレビでも色々な住宅問題を目にすることはあると思いますが、内輪でのもめごとはもちろん、近隣が原因で売却できないことになると一番やっかいです。
相続放棄するとなると、プラスの財産まで放棄することになります。ですから、将来登記しなければならない実家があれば、家族で話し合い、不動産会社や税理士に相談しておきましょう。
生前贈与という形もありますし、時間があればその間にプランを考えて解決しておけますよ。
ただ相続放棄しても管理義務は課せられることはお忘れなく。
ですから、やっぱりちゃんと手放してスッキリさせるのが一番ですよ。
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